カフェインという悪友

多くの人は、睡眠時間を削りたいという願いを持っていることと思う。

いや、労働しなくても毎日50万ほど非課税の日本円が振り込まれ続ければ話は別で、起きていられる限り好きなことして、好きなだけ眠りたいのだろうとは思うが、現実はそうはいかない。

労働や勉学や家事その他諸々で24時間はあっという間に削り取られ、後に残る自由時間を可能な限り最大化しようと思った時、真っ先に敵視されるのが睡眠時間だ、という話だ。

 

くどいな。

 

つまり我々はやりたい事ややらなければならない事のため、やむを得ず睡眠時間を犠牲にする。

翌日待ち構えているのは、最悪の目覚めと抗い難い眠気と体調不良だ。

そんな最低な平日を支えてくれる戦友。それがカフェインである。

 

少し昔の話をしよう。

インターネット匿名界隈には異様にブラックな働き方が目立つが、私もかつて、それに準じる働き方をしていた。

朝は一時間早く出て、夜は五時間遅く帰る。

それでも終電を気にしない程度の時間――つまり23時だとかそれくらいの時間だ――に退社できて、残業代はフルで出たのだから、マシな方だろう。

(マシな方ではあれど今後撲滅されるべき働き方と確信しているし、999のとある星よろしく機械が全てをやってくれる世界が来るまで私は戦う)

そんな忙しさの中でも、私にはめちゃくちゃ傾倒していたジャンルがあった。毎日創作活動をしても熱が発散されなかった。睡眠時間が恨めしく、3時か4時まで起きていた私は、ひどい寝不足に苛まれた。

ある日、慰み程度にと手を出した、一杯の缶コーヒーが始まりだった。

飲んだらすーっと頭が冴えたのだ。眠気が吹き飛んだ。お目々ぱっちりだ。疲れたサラリーマンが缶コーヒーを手にしている理由が分かった。

だがそれでは効かなくなる。昼はコーヒーチェーンに行くようになった。

最初は一番小さいサイズから。二月もすればラージでも物足りなさを感じるようになった。

その頃になると頭痛が目立ちはじめ、最初こそ市販の鎮痛剤を水で飲んでいたが、次第にコーヒーで飲むようになった。そのほうが効く気がしたのだ。

ついでに(これは思うに配合されているカフェインの効果であろうが)頭痛薬を飲むと何だか気分が高揚し仕事に前向きに向き合える気がして、私は段々頭痛でなくとも鎮痛剤を常用しはじめた。(薬は用法用量を守って使用しよう!)

そんなこんなで一番ひどい時の私は、一日に

紅茶のペットボトル1〜2本、缶コーヒー1〜2本、コーヒーチェーンのアイスコーヒー(ラージ)一杯、チルドカップのカフェラテ1〜2杯、エナドリ1本にくわえ、市販の鎮痛剤を【用量を守ってるぞみたいな顔してる数】飲んでいた。

そりゃ貧血ひどくて精密検査回されるわ。それだけですんでよかったよ。

最終的に私は、色々あってその職場を辞し、何箇所かを転々として、その頃よりは幾分人らしい生活を得た。

が、ふと気付いてしまったのだ。

あの日々以来、量こそ減りはすれど、カフェインを取らない日は無かったんじゃないか?と。

 

そう思い至ったきっかけは、とある漫画を読んだからだ。

それは依存症についての啓発漫画で、生々しくも面白く、優しい漫画だった。

これです。

https://www.jiji.com/ad/korosho/izonsho_manga_v01.html

最後に作者さんの体験談が番外編としてか書かれていたのだが、それでふと思い出した。

そういやカフェイン依存体験談でバズってた人いなかった?あれ結末まで読んでないな?って。

これです。

https://mimorimisa.com/実体験/20181020/763/

 

同じ人やん!!

 

そして思った。

「ふぅ〜ん。今は大してカフェイン取ってない(一日2杯くらいのコーヒー系飲料とお茶と用法用量を守った鎮痛剤)からまだまだ平気だけど、やっぱカフェイン錠剤ってヤバイんだな〜手ぇ出さんとこ。いやぁそれにしてもイライラして集中出来ないなぁ〜気分転換に缶コーヒー買ってくるかぁ〜、眠いなぁ〜……いや、ちがう、これはカフェインで目を覚ましてるだけであって…ほら、ねっ?この漫画に比べたら全然……(カシュッ)はぁ〜やっぱUCCのブラックやな……生き返る……いや……ちが……たしかにこの思考回路は依存症漫画のそれだが別になくても平気だし……嗜好品……たしかに休みの日昼になっても眠くてコーヒー買ってきたりもするけど……いや……毎朝コーヒーとチョコで強制的に目を覚ますのはルーチン……これは……ああっループ思考!!だめ!!!!一回試しにカフェイン抜いてみよ!!!!!」

試しにカフェイン断ちました。

死ぬほど眠い。へぇ〜カフェインの離脱症状ってやべーほどの眠気もあるんだぁ〜ふぅ〜ん(震え声)

一週間。離脱症状はそのへんがつらいとインターネット匿名達はいう。

実際、カフェインを断ってから一週間ほど、仕事中も頭がぼうっとしたりやたら早く眠くなったりした。私の元気は半分カフェインで出来ていたんだなと思い知った。

そして昨日。

私はカフェインに軽度に依存してるんだなぁ〜〜〜〜という理解を得た満足感とともに紅茶を解禁。頭がめちゃくちゃ冴える。今までより"効いてる"感じがある。

いやぁ、別に金銭的に破産してないし今は血液検査の結果も良好だし、これくらいはドーピングの範囲でしょ。

カフェイン!君は最高の悪友だ!これからもよろしくな!!今日はコーヒー飲むぞ!!!!ヒューーーー!!!!!!!

(本当に困ったり悩んでる人は然るべき機関に救い求めようね。健康保険とかの金が給金からさっぴかれてるんだから元取っていきましょう)